9月がやってくると時折懐かしむ、スパルタスロンの思い出。

20年以上も前、ギリシャに住んでいた頃に突然のお誘いを受けて、このウルトラマラソンの付き添いをしたのでした。
そしてゴールのスパルタで、絶対に諦めずに長年の愛を叶えた感動の結婚式に立ち会う事に。。。
いろいろな国で結婚式に出席したけど、これほど胸を打たれた結婚式は他にない。

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スパルタスロンとは?不眠不休の決死で走るウルトラマラソン

スパルタスロンとは、ギリシャのアテネからスパルタまでの246kmもの距離を走るウルトラマラソンです。

その由来は、紀元前5世紀の第一次ペルシャ戦争まで遡ります。歴史家ヘロドトスの残した歴史書の第六巻のマラトンの戦いによると、アテネ軍はスパルタに援軍を要請するために、伝令フィリッピデスを放ちます。フィリッピデスは、片道250キロを2日かけて不眠不休の決死でアテネからスパルタまで駆け抜けます。スパルタスロンはこの功績と道のりを辿るレースです。

歴史のロマンと英雄の凛々しさを感じる逸話なのですが、
これを実際に走りきるのはとっても大変です。

というのは、36時間以内にゴールしなければ完走したことにならないから。
最高記録者でも20時間台なので、
つまり、寝る暇なくひたすら走らないと完走できない
ってことです!

不眠不休で、昼夜の温度差と戦いながら、標高1100mのサンガス山他、難所多数を古代戦士のように突破するのです。
アテネの出発地点のパルテノン神殿から、ゴールのスパルタのレオニダス王像まで駆け抜けるには、
尋常な体力と精神力を要します。

あれ、間寛平もう20年以上も走ってる!当時、日本から参加者はまだ少なく

今でこそ、ギリシャ人に次いで多く参加するのは日本人ですが、
当時は両手で数えられるくらいの参加者数でした。

間寛平はその草分け的存在ですね。当時も、間寛平は走っていたのです。そして今でも走っているので、スパルタスロンで30年近く走り続けていることに!それって凄いと思います。尊敬!

日本人の参加者の中に、とある男性がいて、その男性は完走してスパルタで意中の女性と結婚するという計画を立てていました。

で、私もその男性のサポートチームのワゴン車に便乗して、レースのサポートと結婚式に参加することに。レース一週間前に急遽ご招待を頂き、スパルタまでご一緒しました。

ワゴン車にはサポートとして新婦とその親族一人と、運転手、通訳がいて、初めは景色を眺めたり、二人の純愛についてお話を伺ったりして、観光気分で楽しかったです。

そのうち、給水地点に付くたびに、食べるかわからないおにぎりとかを用意したり(私は何もしてないけど)、夜中も起きてサポートとか、結構大変。

いや、これ、サポートでこれだけ大変なんだから、走ってるほうはもっと大変だわ。

しかし、残念ながら途中で足を痛めてしまい、リタイア。

その男性とのレオニダス王の像の前での感動のシーンはありませんでしたが、初めての参加としてはいいところまで行ってましたよ。

だって、間寛平や、他の超有名な参加者で完走を噂されていた人もリタイアしたので、もうこれはしょうがないでしょう。今回はコースを覚えたっていうことで。

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leonidas-sparta

家族の反対を押し切って長年の愛を成就させた感動の結婚式

スパルタのホテルに一泊して、次の日は結婚式。

あの有名なスパルタ軍を有した、強固な都市国家だったスパルタ。

かつてこの国を決死で守ったスパルタ軍の勇者達は、
遥かなる時を超えて、この街が普通の素朴な田舎町となるなんて想像もつかなかったことでしょう。歴史はやっぱりロマンだわ。

そう、スパルタ教育でビシビシやっていたとは思えない程ののんびり感。

ちょっと歩くと、自宅前の道端にテーブルと椅子を出してコーヒーを飲んでいたおじいちゃまから、お茶のご招待を受けたり。

なんか和むわ。

スパルタスロンの取材陣がいたせいか、結婚式のためちょっとだけおしゃれな服をきていたからか、芸能人と間違えられて子供達に囲まれてサインをねだられたり、彼女たちがお小遣いで買ったかわいい文房具の数々を贈られたり。

なんか癒されるわ。

そして、ついに結婚式!

会場は、気持ちのいいギリシャらしい野外のレストラン。

スパルタスロンの日本人関係者だけの少人数でこじんまりした感動の結婚式でした。

親族はたった1人だけ。友達もなし。
でも、お祝いしてくれる人が少ないことなんて、どうでもいいことだわ。

両親から長年強く反対されていた二人の結婚。
それでも二人の愛の絆は深く、良縁のお見合い話をどんなに持ってこられても断固拒否。
やがて二人とも当時の適齢期を超えるくらいの妙齢になる。
それでも二人は諦めなかった。
両親は病気になり入院へ。。。

そして、ついに反対を押し切って、晴れてスパルタで結ばれることになったのです。

二人はアテネで買ったギリシャ模様の指輪を交換して、二つの陰を重ねる。

新婦は泣き崩れる。諦めずに10年近くもスパルタ戦士のように抗って、やっとかたちになった愛だものね。

私も目頭が熱くなって、空を仰いだ。

そして、強く願った。

「ああ、偉大なる英雄、レオニダス王よ!
このスパルタの地で結ばれた二人に更なる力と勇気を授け、永遠の愛を与えたまえ」