スペインのユネスコ世界遺産で、城塞都市の古都トレド。その観光ハイライトの一つアルカサル(Alcázar)。図書館があって、誰でも料金無料で入れて、屋上テラスに行けて、展望もできるってご存知ですか?アルカサルの歴史、図書館の入口や開館時間も紹介しますね。
アルカサル(Alcázar)。入ってみたいけど、軍事博物館になっていて、しっかり見ようと思ったら軽く数時間はかかります。中世ファンタジーや騎士様や冒険や近代&現代軍事系が好きな人以外は、半日や1日は潰れます。
ほとんどの場合、マドリードから日帰りツアーで観光にくるし、宿泊してもここにそんなに時間取ってられないでしょう?
しかし、こちらの図書館なら憧れのアルカサルの中にサクっとちょこっと入れるのです。景色もいいですよ。
古都トレドのアルカサル(Alcázar)とは?その歴史は?
アルカサル(Alcázar)とは、宮殿や砦という意味のアラビア語al qasrからきています。
現在トレドのアルカサル(Alcázar)のあるところはトレドで一番高い場所にあります。いわゆる街の一等地です。
そんなわけで、この場所には3世紀にローマ帝国が宮殿を建設。その後、10世紀にイスラム勢力の後ウマイヤ朝アブド・アッラフマーン3世がこの場所にお城と砦を兼ねた城塞を建築。それからアルカサル(al qasr)と呼ばれるようになります。
レコンキスタでカスティーリャ王国がトレドをキリスト教勢力の領土として回復後、10世紀にアルフォンソ6世が、13世紀にアルフォンソ10世がアルカサルを改修。その後、新大陸からの金銀財宝がザクザク状態だった神聖ローマ帝国皇帝カール5世(=スペイン帝国カルロス1世)が、皇帝に準ずる宮殿を望み、16世紀の高名な建築家アロンソ・デ・コバルビアス(Alonso de Covarrubias)に依頼して建て替えます。ファサードはルネサンス様式。それが今現存しているアルカサル(の原型)です。
というのは、スペイン内戦(1936年-1939年)で、フランコ軍が立てこもり、共和国軍がアルカサルを破壊!残念無念!
壊されたのはつい最近のことではないですか!本物を見たことあるおじいちゃまやおばあちゃまはご存命です。どうせだったら、スペインを史上一番大きくリッチな「太陽の沈まない国」にした皇帝が、16世紀に建てた本物が見たかったですね…ええ、本当に。しかし、なんとか復元したのでよしとします。はい。
そしてアルカサルは現在、軍事博物館と公共図書館になっております。
アルカサルの図書館に入ります
アルカサルの図書館、穴場です。
なんせ、トレドの街中の高いところから眺められる場所は、ここ以外にトレド大聖堂の鐘楼くらいでしょう。
それに、トレド大聖堂の鐘楼は細かい目の鉄格子があるので、眺めはお城の塔に軟禁されたお姫様気分…いやそれ以上で牢獄からの景色のよう。しかも長い長い階段を登ること必須です。アルカサルのようにエレベーターはありません。
では、アルカサルへ。カルロス5世通りの南側の角に行くとこの門の入り口があります。
建物に入るとすぐ右脇にこの廊下があります。大砲が見え隠れしている。
左側の奥にはエレベーターがあるので、それで最上階より一つ下の階へ行くと図書館の受付があります。受付を素通りしてまっすぐ進むと、この読書室があるのでそこを道なりに左折します。ごくごく普通の公共図書館です。
この廊下を突き当たりまで進むと左手にドアがあるので、そこから屋上テラスへ。
こちらがテラス。いい感じ。景色は見えませんが、建設当時初の正方形の建物の作りが理解できます。下を覗くと軍事博物館のテラスがあります。
来た道を戻ってエレベーター乗り場まで戻ってくると、そこには窓がいくつかあるので景色が楽しめます。
綺麗でのどかなこの景色は、ここから以外は絶対見れませんね。
階段を上に登ればカフェへ通じています。カフェはおしゃれとは言い難いのですが、ここからの景色は図書館階より一階高いのでもっと眺めがよくなります。
いかがでしたか?アルカサルの図書館は短時間でさくっと街中から街を上から眺められる穴場です。是非お試しを!
アルカサルの図書館
Biblioteca de Castilla-La Mancha
入館時間
月〜金曜日 08:30 – 21:00
土曜日 09:00 – 14:00 (7・8月は土曜休館)
入口は南側。
料金
無料
軍事博物館
Museo del Ejército
入館時間
10:00 – 17:00 水曜休館
1/1、1/6、5/1、12/24・25・31休館
入口は北側。
料金
5ユーロ
アルカサルの場所
Cuesta de Carlos V, s/n. Toledo