栄華を誇った太陽が沈まないスペイン帝国の知識と富と美が、このユネスコ世界遺産のエルエスコリアル修道院のギャラリーに図書館として大集結しているのを目の当たりにしてきました。

豪華絢爛なのにシンプルで知的な美しさ。魂が震えました!ええ、本当に。

一歩足を踏み入れると、そこは異次元の世界なのです。普通の本は一冊1000円前後で買えたりしますが、ここの本は当時は一冊家一軒分です。

世界史の教科書に載ってる絵もごく当たり前のように普通に飾ってある!

私、エルエスコリアル修道院の図書館の虜になってしまったようです。図書館の詳細や魅力を紹介します。

写真撮影が禁止なのが非常に残念です。

スポンサーリンク




エルエスコリアル修道院の図書館とは?

エルエスコリアルの宮殿、修道院、大聖堂などの複合施設にある図書館です。

場所は修道院と学校の間の通路に図書館が後付けで開設されました。広さは長さ55m、幅9m、高さ10m。

開設の目的は、スペインが世界のリーダーとして君臨し続けるために、古い文献や書物の保存、多様な文化の歴史をスペインのカトリックへ統合すること、新たな発見を記録したり、新しいものを生み出すための知識を提供したりすることでした。

図書館のデザイン。豪華絢爛なのにシンプルな理由は…

入った瞬間、異世界に来た錯覚が起きました。豪華絢爛なのにシンプルで知的も漂う美しさ。魂が震えましたよ!

感動です!感動!落ち着け私、落ち着いて。いや、落ち着けないでしょう、これを見たら。ここは、本当に図書館ですか?ここまで芸術の域に達している図書館、世界でも稀ですね。

で、どうして豪華絢爛なのにシンプルか、ちょっと分析してみます。

天井はフレスコ画でキラキラ。本棚はインド産のシックな木材。テーブルは黒と茶色の大理石、床はモノクロームの大理石です。上の豪華さと下のシックさのギャップが見事にマッチしている。素晴らしい!

フレスコ画はイタリア人のペッレグリーノ・ティバルディ作。文法、論理、修辞、算術、幾何、音楽、天文の自由七科が描かれています。フレスコ画上に学科名がそれぞれ書かれているので、見間違うことはありません。これを見ているだけで、時間がいつの間にか経ってしまいます。


By Xauxa Håkan Svensson, via Wikimedia Commons

スポンサーリンク




温故知新の蔵書が凄い!一冊家一軒の値段!

フィリップ2世が個人的な蔵書の数々を寄贈したのも含めて、現存するのは合計4万冊にも及びます。1671年に火事があったので、きっともっと蔵書はあったのでしょうね。残念ですが。

ここの本は当時は一冊家一軒分。お宝です。

この中には、神聖ローマ帝国ハインリッヒ3世のピカピカの金のゴスペル本(1045–46年)なんて古くて貴重なものもあります。

書物や文献はラテン語、アラビア語、スペイン語、ギリシア語、ヘブライ語で書かれています。

調度品や絵画もお宝!世界史の教科書に載っているカルロス1世の肖像画も!

本棚の合間には肖像画がかかっていて、世界史の教科書に掲載されているカルロス1世の肖像画もさり気なく飾ってあります。

大きなアーミラリ天球儀や、地球儀も床に置かれていて、スペイン帝国が地球にも宇宙にも興味を持っていたことを伺わせてくれるように思いました。


By me -merce, via Wikimedia Commons

図書館に入って、初めにぐるりと一周してから、ゆっくりと天井から見ていたら、係の方が順路のドアの鍵をガチャっとかけたので、何事かと尋ねたら、「もう閉館です」って!

Nooooooo!まだ、フラスコ画は半分しか見てないし、蔵書も絵画もこれからゆっくり見るところだし!算術の絵画をどのように表現してるかよく見たかったですよ!モチーフが想像から外れていない音楽を飛ばして、先に見ればよかった…

「あの、まだ閉館20分前なんですけど」って言ってみたらしたら、「お帰りはこちらです」と入って来た扉の方へ誘導されました…スペインの営業時間は…

あのですね、エルエスコリアル修道院は広すぎるし、見どころがたくさんありすぎだし、希少な芸術品が多すぎるので、1日で回るのは無理ですね。さっと流したり、場所を絞ったりするなら別ですが。

私の場合、この図書館を見るだけで数時間はかかります。戦闘の間と図書館を見て、ほぼ1日が終わってしまっても不思議ではないです。

「またいらしてくださいね」と言われたので、「必ず」と応えました。

ええ、図書館に呼ばれてますから、絶対に戻って来ますから!

エルエスコリアル修道院では、時間配分に充分ご注意くださいませ。