スペインのバスク地方にある、海に浮かぶ絶景教会があるサン・ファン・デ・ガステルガチェ。そこを舞台に14世紀に「カスティーリャ王軍をたった7人の騎士で攻防」騎士を率いたのはフアン・ヌニェス・デ・ララ(三世)。実はこの方の方が、王よりも王位に近いはずだった方。続く家系の紋章デザインが意味がとっても変わっていて、その作り方を歴代の変化で見るととても面白いです。年代順に並べました。
カスティーリャ王 アルフォンソ10世の紋章
Alfonso X
カスティーリャ王 アルフォンソ10世の紋章。王妃はアラゴン王ハイメ1世の王女ビオランテ。
【紋章の意味とデザイン】カスティーリャ王国とレオン王国と合併したので、カスティーリャ(城)とレオン(ライオン)のそれぞれの国の名称を示す図柄が描かれたデザイン。
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カスティーリャ王太子 フェルナンド・デ・ラ・セルダの紋章
Fernando de la Cerda
カスティーリャ王アルフォンソ10世の第一王子で王太子のフェルナンド・デ・ラ・セルダの紋章。王太子フェルナンド・デ・ラ・セルダは、フランス王ルイ9世の王女ブランシュと結婚して、二人の王子、アルフォンソ第一王子、フェルナンド第二王子を残す。しかし戦闘の傷により、19歳の若さで早世。それをきっかけに、弟の第二王子が父王を幽閉して、サンチョ4世として王位に付く。
【紋章の意味とデザイン】カスティーリャ(城)王国とレオン(ライオン)王国のそれぞれの国の名称を示す図柄に加えて、王太子妃の実家のフランス王家の紋章、フルール・ド・リスが半分描かれたデザイン。
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1376年まで使い続けられたセルダ家の紋章
その後、王位をアルフォンソ10世の第二王子に奪われたままの第一王子系のセルダ家は1376年まで、この紋章を使う。
【紋章の意味とデザイン】カスティーリャ(城)王国とレオン(ライオン)王国のそれぞれの国の名称を示す図柄に加えて、王太子妃の実家のフランス王家の紋章、フルール・ド・リスが半分描かれたデザインのバリエーション。
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7人の騎士の主格でビスケー他君主のフアン・ヌニェス・デ・ララ(三世)のララ家の紋章
カスティーリャ王アルフォンソ10世の第一王子で王太子のフェルナンド・デ・ラ・セルダの第二王子、フェルナンドはララの君主の娘と結婚し、第二子のフアン・ヌニェス・デ・ララ(三世)が生まれる。フアン・ヌニェスはララ家の紋章を使い始める。
【紋章の意味とデザイン】ララ家のお鍋と蛇が描かれた紋章。お鍋の持ち手の先が蛇の頭になっている。その意味は不明だけど、他家には見られない何とも斬新な発想のデザイン。
サン・ファン・デ・ガステルガチェ「7人の騎士」の攻防戦では絶景の島にこの旗を掲げて戦ったのでしょうか?だとしたらシュールです。
▶︎サン・ファン・デ・ガステルガチェ「7人の騎士」の攻防戦についてはこちら
傍系、マンリケ・デ・ララ家の紋章
その後、細ぼるララ家の中で残る、傍系マンリケ・デ・ララ家の紋章。
【紋章の意味とデザイン】ララ家のお鍋と蛇が描かれた紋章に、更に蛇が。蛇は持ち手の役割をしていた以前のデザインとは違い、持ち手は鍋と合体していて?、蛇が中に入り左右7匹ずつとなる。これは、まさに蛇鍋のごとき。
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マンリケ・デ・ララ家、ナヘラ公の紋章
1559年頃のマンリケ・デ・ララ家、ナヘラ公の紋章。
【紋章の意味とデザイン】ここで、カスティーリャ王国、レオン王国の紋章に加え、進化したララ家のお鍋と蛇、そしてあの金羊毛騎士団の頸飾まで描かれている。戻って進化した感じです。
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まとめ
紋章を見ていると国や家や主従関係や婚姻関係など、いろいろな面白いこととや時代のデザインも垣間見れて楽しいですね!
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