雄叫びが聞こえる!まるで戦場にいるみたいです!
スペインのユネスコ世界遺産でマドリード近郊にある、エルエスコリアル修道院の「戦闘の間」に入って直ぐに、自分の足元のフローリングが土に代わって、雄叫びや馬が駆ける音が聞こえてきた気がしました。
この「戦闘の間」の55mもある壮大なフレスコ画を、まともに観るなら半日はかかる。いや、一日かもです。
エルエスコリアル修道院のハイライトの中のハイライト、「戦闘の間」について、画家、作成された経緯やエピソード、描かれた戦い、などを紹介します。
非常に非常に残念なのですが、写真撮影は禁止だったのでwikipediaから写真を引用しています。
エルエスコリアル修道院の「戦闘の間」とは?
エルエスコリアル修道院の「戦闘の間」とは、王宮棟にある、奥行き60 m、幅6 m、高さ8mもあるギャラリーの両面に、スペイン軍が勝利した戦いをフレスコ画で描いた空間です。
By Quenoteam, via Wikimedia Commons
描かれている壮大な戦闘
- イゲルエラの戦い(南壁の全面 55 m)
la batalla de La Higueruela 1431年
カスティーリャ王国vs.ナスル朝イスラム勢力 - サン・カンタンの戦い (北壁/窓側)
La batalla de San Quintín 1557-1558年
スペイン帝国、ネーデルランド、イングランドの連合軍vs.フランス王国 - アゾレス諸島 ポンタ・デルガダの海戦
la batalla de la Isla Terceira 1583年
スペイン帝国(フィリペ2世はポルトガル王にもなる)vs. ポルトガル王僭称者、フランス
ジェノバ出身の画家を集結
フィリペ2世は、ジェノバ出身の4人の画家を集結させ、1585年から1590年にかけて段階的に描かせて完成させました。
正確に描けるように、モデルチームの編成や軍服まで別のアーティストに用意させたとのことです。凄い気合いの入れようです。
イゲルエラの戦い
細部が丁寧に描かれています。これがなんと55mも続いているのです!構図をどうやって決めたのでしょうね?
この画像は馬上の騎士が戦っているごく一部の部分です。写真では見えないのですが、待機している別働舞台が綺麗に整列していたり、お城があったりで、それはもうリアルです。武器も弓、剣、槍だけをとってもいろいろな種類がありますし。
これだけの人をいろいろな場所で動かすのは、将軍、大隊長、小隊長などがいても大変ですよね。最後は混戦になってしまっているところもあるし。敵味方がわからなくなるときもあるのではないでしょうか。
それぞれの場所のそれぞれの部隊の戦況の報告をするのも一苦労でしょうね。
サン・カンタンの戦い
街攻めの戦略が手に取るようにありありと伺えます。
まとめ
この絵は、バトル好きにとってはとってもロマンです。
私は一度ギャラリーをぐるっと一周して全体の構造に目を通してから、今度はゆっくりと細部を見ていました。もうね、感動感激です。まともに観ようとしたら、半日は軽く潰れます。
あまりにもこの世界に入り込んでしまい、タイムスリップして、戦士の雄叫びが聞こえ、私の隣で軍師が戦の解説してくれているような現象が起きました。この部屋から自らの意思では出れませんでした。全部見終えないうちに、次の場所を観る時間の確保のために引っ張りだされました。
ええ、絶対に絶対にまた戻って来ますから。ここに。次回はこの部屋で半日過ごすって決めましたので。
最後に、こちらを是非ごらんください。親切な方が、このお部屋の360度画像を作ってくれています。全てのフレスコ画の細部が観れませんが、一部や雰囲気は味わえます。